焼き物。それは食卓を美しく演出し、食事をよりいっそう美味しく引き立ててくれるもの。
日本の焼き物の歴史は古く、縄文土器に始まり現在でも全国各地で生産されており、海外でも人気のある伝統文化の1つです。
そんな日本が誇るべき焼き物文化を街づくりに展開して成功し、ひいては珍スポットまで発展してしまったという例があるのです。
そこで今回は、そんな焼き物の珍スポットをもつ、日本六古窯の常滑市について紹介します。
きれいな陶器で食べるごはんって、美味しいですよね
そんな陶器の焼き物で古くから有名なのが愛知県常滑市。
そしてその焼き物文化は、珍スポットにまで発展しているのよ。
常滑は日本六古窯の1つ
今回紹介する珍スポットは、愛知県の知多半島西岸中央部に位置する常滑市にあります。
この日はオートバイでツーリングをしており、東海市で聚楽園大仏を見たあと、国道155号を通って常滑市陶磁器会館へ行きました。
7月の真夏の真っ最中に訪問したため、干上がるような暑さだったのを記憶しております(^^;
休日は駐車料金がかかるということで、陶磁器会館のスタッフの人にお金を支払って敷地内に駐車します。オートバイは300円。
この常滑市、代表的な産業の1つに窯業(焼き物)があり、ここで作られた焼き物は一般的に常滑焼と呼ばれています。
この陶磁器会館はそのような常滑の焼き物文化を振興するための施設で、会館内でも様々な焼き物が販売されていました。
常滑における焼き物の歴史は古く、平安末期から千年も続く伝統ある産業であり、瀬戸・越前・信楽・丹波立杭・備前とともに日本を代表する窯場「日本六古窯」のうちの1つとされています。
常滑の焼き物文化は現在進行形で発展しており、産業だけでなくその街づくりにも利用されていて、それが一種の「珍スポット!?」というような様相を呈している場所がいくつかあります。
今回はまず、そのような焼き物が盛んな常滑ならではの珍スポットについて見ていくことにします。
常滑の代表的な産業の1つに焼き物があり、日本六古窯のうちの1つとされている。
とこなめ招き猫通り
陶磁器会館でもらう街案内のパンフレットや街中に立つ案内板を見ながら散策していきます。
まず最初に行ったスポットが、陶磁器会館に面した大通りを西に進んでいくと見えてくる「とこなめ招き猫通り」。
この通りには、常滑の陶芸作家39人が製作した御利益招き猫39体が道路沿いのコンクリート壁面に展示されていて、どれも非常に特徴的な表情・格好をしております。
通りを見渡すと壁に、ぽつっ、ぽつっと御利益招き猫が展示されているのが見えますね。
すべての作品の下に、その招き猫の御利益と製作者の名前が書かれたプレートが設置されていました。
観光客の方で一つ一つじっくり眺めている方もいましたので、筆者もそれに倣い鑑賞していきます。
厄除け!
開運招福!!
無病息災!!!
交通安全!
航空安全!?
旅行安全!??
夫婦円満♥
美人祈願♥♥
地震息災!?!?
ここで掲載したのは39体ある作品の一部だけですが、「厄除け」「開運招福」など神社・寺院などでもありそうな一般的なものから、「航空安全」「旅行安全」「美人祈願」など、かなり専門的に特化したものまで様々な御利益猫が展示されていて、中には笑いを誘うようなものもありました。
1体1体じっくり見入ってしまいましたが、どれも個性的で丁寧に作られていて、陶芸家の方の焼き物と常滑への愛情を感じることもできますね。
とこなめ招き猫通りには、39もの御利益を体現した個性的な招き猫がコンクリート壁面に展示されている。
地震息災の猫は炎を背景にしているけど、どこが地震と関係しているのだろう…
見守り猫とこにゃん
次に見ていくのは冒頭の写真でも掲載した、珍スポットとして取り上げられることも多い常滑の見守り猫とこにゃん。
陶磁器会館でもらった地図と、街中にところどころ立つ案内をたよりに「やきもの散歩道Aコース」※を進んでいくと、とこにゃんに会えるそうです。
※やきもの散歩道Aコースについては次の章で口述します。
見守り猫とこにゃんがいるとされる場所付近に着きました。
そこは駐車場なのですが、たまたま空車と思われる場所には、なにやら白い平面状の板のようなものがたっています。おそるおそるその白い平面の反対側に回ってみますと、そこで待っていたものは…
∑(๑ºдº๑)!!
この巨大招き猫の頭部は間違いありません。珍スポット系の本やサイトで何度も見たことがある、あの巨大な見守り招き猫とこにゃんです。
家屋一軒程度の大きさはあるであろうとこにゃんは、特に何もおかしいことはないといった表情をしながら鎮座していますが、見ているこちらからしたら「いや、おかしいだろ!笑」とツッコミを入れたくなりますね(^^;
正確には高さ3.8m、幅6.3mもの大きさになるそうです。
よく見ると、とこにゃんの手前には小さな猫がいますが、遠くからみたら本物と見分けつかないほどリアルに作られた焼き物猫でした。小さな猫が、巨大なとこにゃんを眺める姿、何とも愛らしい…
こうして離れてみると高さ10mはありそうな、非常に高所に鎮座しており、平々凡々な日常世界の中で、まるでここだけ異質の空間と化しているようです。
下の道路を走っている車と比べて見ても、高さ・大きさといった点でその存在感は歴然たるものです。
ちなみに先に紹介した、とこなめ招き猫通りの反対側からはこのように見えていました。
地震の時に落ちてこないだろうかといろいろ考えをめぐらせてしまいますが、そこはきっとうまいことされているのでしょう。
せっかくだから、普通の招き猫のように裏も丸みをつけて作れなかったのだろうかとも思ってしまいますが、きっと設置面積の問題や裏の駐車場スペース問題など、いろいろな事情があったのでしょう。わがままは言わない *ฅ´ω`ฅ*
常滑の街上には招き猫の巨大な頭部が鎮座している。その名はとこにゃん。
街全体を見渡せるほどの高いところから常滑を見守るとこにゃん、ステキ♥
やきもの散歩道Aコース
常滑の珍スポットといったらとこにゃんが有名ですが、実はこれ以外にも、やきもの散歩道という観光ルートを歩くことで、珍スポット的でおもしろいものが見られます。
やきもの散歩道は、昭和初期頃もっとも栄えた窯業集落一帯を観光用に再利用したルートになります。
散歩道はAコースとBコースという2つのルートがありますが、今回紹介するのはAルート※
実は先に紹介したとこにゃんも、このAコース上にありました。陶磁器会館が出発点になります。
※当日のすごい酷暑と体力的な問題から、Bコースの散策は断念しました(涙) またリベンジしたいと思います。
散歩道を歩いていくと、様々な焼き物を見ることができます。このコンクリート壁の上に乗っているのは焼き物の土管のようです。
また別の場所では焼き物のレンガ。見ている人がすっきりした気分になれるように、整然ときれいに並べられています。
これらだけでも十分見ごたえがあると思いますが、さらに進んでいくと思わず、「ええっ!?」と目を見張ってしまうような焼き物がありました。
こちらは古風な家屋群が立ち並んだ、一見普通の坂道のようにも思えます。
しかし、右の茶色い石垣のような壁面を観察すると、これまたすごいことになっています。
!
右側の壁面と思われた場所には、何とも形容しがたい大量の焼き物が重ね並べられておりました。
真ん中に穴が開いてにゅっと出ているようなこの焼き物は、昭和初期に使用された焼酎瓶ということです。
一つ一つならなんとも思わない焼酎瓶も、こうして大量に集合すると、なんだか別の何かに見えてきてめまいすら感じてしまいます。
それにしてもよくもここまで集めて積み重ねたものだ…(^^;
さらに一見普通に見えた路面も実は焼き物。何とも独特な幾何学的文様を呈しています。
常滑では陶器の破片を路面に敷き詰めて滑り止めとして利用してきた歴史があるそうで、これもその一例のようです。
さらにこの散歩道圧巻の光景は、散歩道を3分の1ほど歩いたところに見えてくる土管坂。
その土管坂という名前を体現するように、壁面には明治時代に使用されたとされる大量の土管が並んでいます。
さらに、もう一方の壁面には土管に負けじとこれまた大量の焼酎瓶が並んでいます。
焼き物である大量の土管と焼酎瓶により構成された景観はこれまたワンダー!
案内板の説明によると、「環境や人に配慮した当時の人々の知恵と工夫により、独特の景観が形成」され、昭和30年代に現在の姿になったということです。
とこにゃんや御利益招き猫とともに常滑の代表的な珍スポット的風景ですね(^_^)
これ以外にも現在はもう使用されていないレンガ作りの煙突や窯、工場なども見ることができ、常滑の焼き物の歴史を感じることができました。
焼き物散歩道にある、大量の土管と焼酎瓶により構成された景観はこれまたワンダーであり、珍スポット的な様相を呈している。
大量の土管と焼酎瓶が本来の用途から外れて織りなす風景は、奇異で非日常的な印象を私たちに与えてくれるわね。大学で学んだ哲学における異化の考え方も、このようなものであったのかしら…
活気ある散歩道
この散歩道には使用されなくなった煙突や窯、工場があるといっても、決して寂れているわけではなく、現在でも様々な店舗が営業されており、休日は多くの観光客で賑わっています。
せっかくですので、珍スポットと併せて楽しめそうな場所を少しだけ紹介しますね(^_^)b
まず、このやきもの散歩道には焼き物を売る店がたくさんありました。焼き物というと古臭いものと連想する人もいるかもしれませんが、決してそのようなことはなく、おしゃれなものや新鮮なものなどたくさん販売されております。
もちろん、招き猫もたくさん販売されております。とこにゃんや御利益招き猫もそうですが、常滑の招き猫に対する愛を感じることができますね*ฅ´ω`ฅ*
また陶芸を体験できるという店がいくつもありました。普段の生活にはない、焼き物を作る喜びを体験することができて良いですね。
散歩道の駅という休憩所もありました。歩くのに疲れたらここで焼き物など見ながら一休みするのもいいでしょう(ˊ▽ˋ*)
陶器の焼き物だけでなく、おしゃれなパン屋などもありました。パンもある意味焼き物ですからね笑
やきもの散歩道には様々な店舗などがあり、珍スポット以外にもいろいろと楽しめる観光スポットである。
珍スポット好き以外の人も楽しめるなら安心ね!
アニメの舞台にもなる
さらにこの常滑市はアニメ映画の舞台となっているそうです。
「泣きたい私は猫をかぶる」というアニメ映画では常滑の各所が舞台になっていて、ファンによる聖地巡礼も行われているそうです。
陶磁器会館にも紹介のポスターが貼ってあり、その中の男女が寄りかかっているのは、先に紹介した大量の焼酎瓶の壁でした。
いったい映画の中で、とこにゃんや御利益招き猫、土管坂などはどのように描かれているのか。筆者はこの映画は見たことはありませんが、せっかく常滑の街を知ることができたのでぜひ見てみたいと思いました。
常滑市はアニメ映画「泣きたい私は猫をかぶる」の舞台にもなっている。
このブログの記事、珍スポットの紹介というより、なんか常滑市のPR記事みたいな内容になってきてるわね。
まとめ
この記事後半は珍スポットの話からかなり脱線してしまった感はありますが、今回紹介した常滑市は珍スポットはもちろん、それ以外にもいろいろな側面から楽しめる街であると思います。
筆者は午後2時過ぎ頃行きましたが、すべて回るのに時間が足りませんでした(T-T) 1日かけて楽しめるボリュームはあると思います。
珍スポットファンはまず、とこにゃん、御利益招き猫、土管坂あたりを制覇したあと、いろいろと楽しむのがよいでしょう。
日本六古窯である焼き物の街から感じるロマン、興味がある方はぜひ常滑市へ!
- 常滑の代表的な産業の1つに焼き物があり、日本六古窯のうちの1つとされている。
- とこなめ招き猫通りには、39もの御利益を体現した個性的な招き猫が展示されている。
- 常滑の街上には巨大な見守り招き猫・とこにゃんが鎮座している。
- 焼き物散歩道にある、大量の土管と焼酎瓶により構成された景観はワンダー!
- やきもの散歩道には様々な店舗など見どころがあり、いろいろと楽しめる観光スポット。
- アニメ映画「泣きたい私は猫をかぶる」の舞台にもなっている。
訪問日:2022年7月31日
詳細情報※
- 住所 :愛知県常滑市栄町3-8
- アクセス:知多横断道路 常滑ICから約1.3km 車4分/名鉄常滑駅から約400m 徒歩6分
- 営業時間:9:00~17:00
- 休日 :年中無休(年末年始を除く)
- 料金 :無料
- 駐車場 :土・日・祝は有料。
- 問合先 :0569-35-2033
※常滑市陶磁器会館の詳細情報になります。
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