貝。それが誕生したのは古生代オルドビス紀だとされており、人類の生活にも狩猟・農耕時代から深く根づいていて、現在ではわざわざ海や川に行かなくても、近所のスーパーでその存在を身近に感じることができます。
そのような人類の貝に対する関係は、アサリやハマグリなど貝殻の中に住む生物を食用とすることはもちろん、その外殻としての貝殻は貨幣・装飾品・日用品・玩具・信仰など様々な用途で利用してきました。
そのような貝殻は、我々が探求している珍スポットにおいても、様々な方法で人類により利用されていることがわかってきております。
そこで今回はそのような珍スポットの例として、大量かつ様々な貝殻の装飾がほどこされた貝殻公園を紹介します。
貝殻(かいがら、Shell)は、貝(軟体動物や腕足動物など)が外套膜の外面に分泌する硬組織で、代表的な生体鉱物のひとつである。(Wikipediaより抜粋)
子供のころ、サザエの殻からは海の音がすると聞いてよく耳に当てて遊んでいました。
そんな私たち人間の生活に深く根づいている貝だけど、それは例にもれず珍スポットにも利用されているの。今回はそんな珍スポットの一例を紹介するそうよ。
いざ、貝殻公園へ
今回紹介する珍スポット・貝殻公園は愛知県の知多半島南部にあります。
筆者は当時名古屋市に住んでいたため、知多半島西部に伸びる国道155・247号をツーリングしながら目的地を目指しますε=ε=٩(๑・∀・)۶
途中までは割と街中で交通量も多かったですが、南に向かうにつれて走っているのが楽しくなるようなシーサイドラインでした。
1時間ちょっと走ると、目的地付近で農道に入り山を登っていくと、貝殻公園の北入口駐車場に到着です。フゥ…ε-ヾ(´ε`;)ゝ
駐車場は車を何台か止められるスペースで、先客の車がすでに数台止まっておりました。
貝殻公園へのアクセスは、この日利用した北入口駐車場以外にも、南側の山のふもとにある円増寺から1115段もの急な階段を上るルートもあるそうです。
筆者はまだそちらからは登ったことがありませんが、いつかトライしてみたいですね。
貝殻公園への道の入口には、「貝殻公園遊歩道」と書かれた案内板が立っているので、それに従って徒歩で進んでいきました。
駐車場から公園へは500mほどの距離があり、上の写真のような悪路をしばらく進んでいきますε=ε=٩(๑・∀・)۶
日が傾いていたこともあり、途中の道で出会った農作業中のおじさんから、「早く行かないと日が暮れるぞー」と忠告を受けました。
たしかに電灯など全くない場所で、日が暮れたら真っ暗で何も見えなくなるため、公園に行くときは時間にゆとりを持って行ったほうがいいと反省ですorz
貝殻公園へのルートは北側入口駐車場から山道を歩くルートと山の麓から階段を上るルートがある。時間には余裕を持っていきましょう。
山の上にあって、けっこうアクセスが大変そうな公園なんだね
友愛の森
公園に到着すると、まず最初に見ていくことになるのは「友愛の森」という場所。
扇形のコンクリート板には白い文字で「友愛の森」と「命名者 左髙三郎」と書かれていました。
「左髙三郎って誰なんだろう…」といった疑問はとりあえず置いておくとして、この白い文字、線というより点々をつなげたように書かれています。なんでしょう、もう少し近づいてよく見てみましょうε=ε=٩(๑・∀・)۶
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なんと白い文字はコンクリートに埋め込まれた、大きさがあさりくらいの貝が並べられて構成されています…!
また扇形のコンクリートに縁どられているのは、サザエなどを食べるときについている貝の蓋…!
またそのすぐわきには、台座の上に手すりや上部鉄骨を支えるたくさんの柱が建てられた構築物がありました。
まるでドラクエにでも出てきそうな、儀式を行う神殿のような外観をしており、台座・柱の全体に白い点々の装飾が施されています。さてさて、もう予想はついておりますが、こちらも近づいて見てみることにします。
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台座を見てみると、ハマグリくらいの貝がびっしりと敷き詰められています…!
しかもこちらの貝は、光沢があって輝いているように見えてとてもきれいですね。
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さらに階段を見てみると、垂直の壁面部分にはもちろん、水平面にもこれまたシジミくらいの小さな貝がたくさん敷き詰められています…!
水平面は足を乗せるところであるために少し汚れが目立ちますが、小さな貝を踏むのには少し気が引けてしまいました(^^;
台座上に立っているコンクリート柱にも、貝、貝、貝。これでもかというほど貝が埋めこまれていました…
正面から見たときは気づきませんでしたが、柱の後ろには、「人にこの世に奉仕のまこと」と小さな貝で貝で書かれていました。この公園を作った方の思いが込められているのでしょうか…
それにしてもこちらの貝はこれまた小さく細い字で書かれています。どれどれ、どんな貝か見てみよう…
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こちらの文字はヤドカリくらいの細く小さな貝が使用されていました…!
貝殻公園という名にふさわしいほどに、本当に大量かつ様々な貝が使用されていますね(^^;
さらに近くには貝殻で五色観音と書かれて装飾された台座の上に、観音様がのっていました。
五色とは古来よりある仏教用語ですが、珍スポットファンとしては思わず、浅野祥雲の五色園を連想してしまいました。
集合体恐怖症の私には、少しきついところがある珍スポットね…
トライポフォビアは、小さな穴や斑点などの集合体に対する恐怖症のことで、ギリシャ語のtrypo(punching, drilling or boring holes)とphobia(恐怖症)を掛け合わせた造語として、2005年に命名された用語である。日本語では、集合体恐怖症と通称されることもある。なお、症状などは個人差がある。(Wikipediaより抜粋)
展望台前広場
友愛の森をすぎると続いて到着するのは、ちょうど歩いてきた後の休憩によさそうな展望台前広場。フゥ…ε-ヾ(´ε`;)ゝ
机や椅子が設置されておりますが、その装飾に使用されているのはもちろん貝!経年劣化で欠けた貝などもあるため、怪我したり服を切ったりしないよう注意が必要そうですorz
また、近くには小さな貝がちりばめられ、白山貝塚と書かれたひょうたん型のコンクリート碑。わきには将棋の王将駒や鶴の像が陣取っています。
周りを囲う柱には知多バスや名鉄観光、人名などが貝により埋めこまれていますが、神社・寺院などによく見られるのと同じように、かつてこの公園に奉納があった記念なのでしょうか…
北側入口駐車場からは、友愛の森、展望台前広場へと入っていくことになる。そこには大量かつ様々な貝により装飾されたコンクリートのオブジェがある。
何の意図でこうなったのかわからないけど、これでもかというほどたくさんの貝の装飾がほどこされたオブジェ、見ているだけでオモシロイ!
白山丸
展望台前広場を奥に進んでいくと、そこにはまた驚くべきものが筆者を待っていました。
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なんとそこには展望台がついたコンクリート製の巨大な船が鎮座していました。もちろん全体的に様々な貝による装飾がほどこされ、船前方部に白山丸という船名が貝により表されています。
反対側にまわって見ると、そこにももちろん貝の装飾。
このような巨大な船、どのようにしてこの場に鎮座することになったのでしょうか。この場所で組み立てて作ったのでしょうか、それとも他で作ったものをこの場所に運んだのでしょうか。いろいろな可能性を思案してしまいます(*’ω’*)……ん?
展望台を支える柱はもちろん、その下の面など意識しなければ見えない場所まで貝がしっかりと並んでいます。手前にマイクのようなものが設置されていますが、かつて何かアナウンスされることがあったのでしょうか、今は使われているようには見えません( ´•ω•` )
さて、手前広場から筆者の期待のボルテージが高まり続けている展望台。ここから眺めた知多半島南端の豊浜港はどのように見えるのでしょうか。早速登ってみましょう!
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なんと!期待していた展望台ですが、「あぶない 立入禁止」という注意書きが貼られ、現在は登ることができないようです!
見た感じかなり老朽化が進んでいるようですね、さすがにこんな場所で転落死したり、落下してきた展望台に衝突して貝に埋もれながら死んでいくのは嫌なので登るのは断念しました。残念…orz
ワシが以前来たときは登ることができたのにのう。残念じゃ。
公園には巨大な船・白山丸が鎮座している。展望台は現在登れない。
若人よ 明治につづけ ど根性
残念ながら展望台に上ることができませんでしたが、その代わりに豊浜港を望むことができる場所がありました。船を離れて散策していると、そこには今日何度目になるかわからない驚くべきものが筆者を待っていました。
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夕日が落ちつつある豊浜港の景色はもちろんステキなのですが、珍スポット好きとして見過ごせないのが、伊勢湾に望んだ巨大な大砲。こちらも今日何度目になるかわからない、貝、貝、貝…!
大量かつバリエーション豊かな貝で大砲が装飾されています。大砲の先のほうにちょこんと止まった鳥がまた良い味を出していますねヾ(*´∀`*)ノキャッキャ
また、「明治百年記念」や「天下泰平」などスケールの大きな文字が貝により表されていますが、その中でも心に響くのは、扇形のコンクリート板の言葉。
「若人よ 明治につ●● ど根性」
コンクリートが欠けたためか残念ながら一部消えてしまった文字がありますが、「●●」の部分には「づけ」、つまり全体で「若人よ 明治につづけ ド根性」と書かれていたそうです(*゚ω゚*)ステキ*
よい言葉ですね、明治のように素晴らしい時代を若者たちに築いていってほしいという、この公園の制作者の思いがこめられているのでしょうか。書かれている場所がとてつもない公園だけに、胸に染みこんできて心底惚れました。°(´ฅωฅ`)°。
こんな貝だらけの公園をもつくってしまうおそるべき明治魂、今を生きる若者もこんな公園を作るような、とてつもない大仕事ができるよう、がんばれ!
それにしても、この場所は本当に見晴らしがよく、豊浜港は人々の営みを伝わってくるようでステキだなあ(*゚ω゚*)ステキ*
僕も明治時代の立派な日本男児になれるように、また今日一日頑張っていくよ!
公園には巨大な大砲も鎮座している。「若者よ 明治へつづけ ド根性」というメッセージが秀逸で心底惚れる。
白山神社
そして最後に到着したのは、この珍スポットの聖なる地。この場所は貝殻”公園”ですが、同時に白蛇の神様が祀られた神社でもあるのです。
一般的な神社にはある鳥居も設置されていました。ただし一般的な鳥居と異なるのは、こちらがたくさん貝で装飾されていること。
ご覧の通り、裏側まで貝はびっちりついています。貝殻公園の円増寺側の入口から入ってきた場合はまずこの鳥居が迎えてくれるのです。
鳥居をくぐった奥の方には、神様を祀っていると思われる神社本堂のような鈴緒のかかった建物がありました。あまり管理されていないのか、表面の木がめくれてしまっているところが見られます( ´•ω•` )
その他にも神様を祀っているような場所もありました。貝のついた柱の上に乗った貝がどことなく可愛い印象を受けますね(*ノωノ)
足元には、これまたすごい量の貝で装飾された小さな外灯もありました。
貝殻公園は、公園であると同時に、白蛇の神様が祀られた神社でもある。
石川県・福井県・岐阜県にまたがる白山に関わる信仰は全国の白山神社に見られるけど、この貝殻公園もその一種のようね。
白山権現(はくさんごんげん)は、白山の山岳信仰と修験道が融合した神仏習合の神であり、十一面観音菩薩を本地仏とする。白山大権現、白山妙理権現とも呼ばれた。神仏分離・廃仏毀釈が行われる以前は、全国の白山権現社で祀られた。(Wikipediaより抜粋)
貝殻公園の由緒
ここまで見てきた、これでもかというほど大量・様々な貝が装飾にほどこされている貝殻公園。
その歴史の豊浜の漁師だった山本祐一さんが、白山妙理大権現の使いである龍神の化身・白蛇に光り輝く貝殻が落ちる霊夢を見たときから始まります。
祐一さんがこの夢を見たのは昭和30年の正月、還暦を迎えたころでしたが、これ以来祐一さんは砂浜にあった貝殻を、セメントや石など他の材料とともに天秤に担いで毎日欠かさず山道を往復して白蛇を祀る公園をつくっていたとのことです。
この作業は息子の良吉さんも手伝うところとなり、実に20年の年月をかけて昭和51年にこの公園が完成しました。
宗教的な霊夢にインスピレーションを得ることで珍スポットが制作された例は、同じ愛知県だと布袋の大仏などありますが、この貝殻公園もそのような系統の1つであるのです。
貝殻公園は、豊浜の漁師・山本祐一さんが霊夢を見たことにより始まり、息子の良吉さんとともに約20年の月日をかけて完成した。
人間にここまでの偉業を成し遂げさせてしまう宗教的な霊夢には、ロマンを感じるね!
まとめ
今回紹介した珍スポット・貝殻公園は、貝殻で装飾されたオブジェを見物する楽しさはもちろん、20年もの年月をかけて完成させた山本親子の偉業、そしてそのきっかけとなった宗教的な霊夢の深淵性まで感じることができて大変有意義な時間を過ごせました。
北側入口駐車場からは500mの山道を歩き、南側の円増寺からは1115段の階段を上るなど、若干アクセスに難があり、また公園内にトイレがないなど不便な点もありますが、そこをうまく対応すれば、比較的多くの人が楽しめるのではないかと思います。
宗教的な霊夢に端を発する、大量かつ様々な貝殻で装飾された公園に感じるロマン、興味がある方はぜひ貝殻公園へ!
- 公園へは北側入口駐車場から山道を歩くルートと山の麓から階段を上るルートがある。
- 豊浜の漁師・山本祐一さんが霊夢を見たことにより公園の制作が始まり、息子の良吉さんとともに約20年の月日をかけて完成した。
- 大量かつ様々な貝により装飾されたコンクリートのオブジェがある。
- 巨大な船・白山丸が鎮座しているが、展望台は現在登れない。
- 大砲も鎮座している。「若者よ 明治へつづけ ド根性」というメッセージに心底惚れる。
- 公園であると同時に、白蛇の神様が祀られた神社でもある。
貝殻に関する珍スポットといえば、他に愛知県の竹島ファンタジー館なんかもあるわね。いつか話を聞いてみたいわ…
訪問日:2020年2月2日
詳細情報※
※貝殻公園・北入口駐車場の情報になります。
- 住所 :愛知県知多郡南知多町豊浜東狭間
- アクセス:南知多道路 豊丘ICより4km 8分
- 休日 :無休
- 料金 :無料
- 駐車場 :無料(数台)
おまけ:他にもあるぞ!知多半島の珍スポット
愛知県の知多半島には他にも珍スポットがあります。晴れた日の休日には併せてドライブに行ってみましょう!
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貝殻公園のことも載っているわよ。
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