食べ物が「食べられる」という用途を逸脱して、人間の文化的生活に溶け込んでいるということは一般的によく見られる現象です。
例えばその例として挙げられるのがかぼちゃ。ハロウィンと言えば、あのかぼちゃお化けを思い浮かべる人が多いのではないのでしょうか?あんぐりと目と口を黒く開けて、「お菓子をくれなきゃいたずらするぞ」というお化けのかぼちゃ。
そんな「食べられる」という目的を逸脱してお化けという超越的な存在になることもあるかぼちゃですが、それとは別の例として、かぼちゃが仏様というまた別の超越者となりお寺で祀られているという珍スポットが存在します。
そこで今回は、そんなかぼちゃを祀っているというハズ観音かぼちゃ寺について紹介します。
かぼちゃって栄養価が高そうですよね。
かぼちゃは食べ物として優れているだけでなく、ハロウィンなど私たちの文化的生活にも根付いているの。そして時には珍スポットと関係していることもあるのよ。
いざ、ハズ観音かぼちゃ寺へ
ハズ観音かぼちゃ寺へ到着
今回紹介する珍スポット・ハズ観音かぼちゃ寺は、愛知県西尾市東幡豆町の国道247号沿いにあります。
1月上旬で大変寒い日でしたが、この日は浜松からオートバイで国道1号、23号、そして247号を経由して目的地へ行きました。
到着するとすぐ目に入ってくるのは「百寿かぼちゃ勧世音」と記された幟がいくつも掲げられたお寺の参詣道。かぼちゃとお寺という異色の組み合わせを目に、酔狂な筆者の期待は高まっていきます。
参詣道を進んで振り返ると、眼前に広がるのは青い海。お寺は三河湾沿岸に位置しているため、晴れた日は大変きれいな海を望むことができます。
境内入口にはかぼちゃの絵と「中風除けかぼちゃ寺ハズ観音」と記された看板。幟と同様に、かぼちゃとこのお寺の深い関係をうかがい知ることができます。
またその近くには、「成人病予防 中風除け ハズ観音」と記載されたしゃもじ風の看板。まだ境内へ入っていないのに、いろいろと見どころ満載のお寺ですね。
お寺とかぼちゃの由緒
このお寺は通称かぼちゃ寺、ハズ観音かぼちゃ寺などでも知られていますが、正式名称は妙善寺。
天平年間(729~749)に行基菩薩により開基されたと伝えられており、また近くの説明板によると、「徳川家康の落胤といわれる小笠原権之丞ゆかりの浄土宗西山深草派の寺院で、権之丞の母の位牌を安置してい」るお寺でもあるということです。
冬至の日には全国各地から奉納されたたくさんのかぼちゃが集まるなど、かぼちゃとの関係も深いお寺です。
そのかぼちゃとの関係ですが、参詣道の途中には「幡豆の民話 お告げのかぼちゃ」と題された看板あり、このお寺におけるかぼちゃの由緒が記されています。
この説明によると、昔このお寺の利春僧都(りしゅんそうず)が観音様のお告げに従い寺の前の浜に出たところ、たくさんの丸い形をしたものが打ち上げられていたそうです。和尚さんや村人がこの実を煮て食べたところ、活力が湧いてきたということで、後にこの実がかぼちゃだとわかったということです。
利春僧都は安土桃山時代(1532~1555)の人なので、そのころのことを題材にした幡豆の民話が、かぼちゃとお寺を関係づける由縁になっていることがわかりますね。
- ハズ観音かぼちゃ寺の通称で知られているが正式名称は妙善寺。天平年間(729~749)に行基菩薩により開基されたと伝えられている。
- かぼちゃがお寺の前に流れ着いたとされる幡豆の民話が、かぼちゃとお寺を結び付ける由縁になっている。
かぼちゃとお寺って、ずいぶん異色な組み合わせだね。
かぼちゃが祀られる境内
境内へ
お寺の周囲の様子やかぼちゃとのご由緒がわかったところで、次はいよいよ境内に入ります。
外の参詣道と同じように、「百寿かぼちゃ勧世音」と記されたたくさんの幟。石畳の参詣道や、寺院の伝統様式に則っている本堂からは立派な風格を感じることができます。
おや、さらに本堂に近づいてみると、何か大きなかぼちゃと思われるものが置かれていることがわかります。いったい何なのでしょう、高鳴る期待を胸に正面に回ってみるとそこには驚愕の光景が筆者を待っていました。
かぼちゃの仏像
∑(๑ºдº๑)!!
仏様!?なんと大きなかぼちゃの像の中には仏様が鎮座しているのでした。仏様とかぼちゃという異色の組み合わせは、日ごろの常識を覆すような大変シュールな光景を生み出しております…
またその隣に屹立している緑の像は百寿かぼちゃ観世音、幟に書かれていた仏様ということになります。その名前にふさわしく、仏様が鎮座しているのは蓮の葉ならぬかぼちゃの上に鎮座、こちらも隣の像に負けずシュールな光景を呈しています。
さらに、近くに安置されていたお地蔵様までもが、合掌しながらもかぼちゃの上に鎮座。このお寺では仏像とかぼちゃが渾然一体となっているのですね…
本堂のかぼちゃ
また仏像だけでなく、本堂にもかぼちゃにまつわるものを見ることができます。例えば、本堂にはかぼちゃの絵が描かれた垂れ幕が堂々と掛けられております。
本堂の賽銭箱の前にも、何か神聖なものが祀られるようにして座布団の上に鎮座するかぼちゃ。
ハロウィンにおいて、かぼちゃはお化けという超越的な存在になりますが、こちらのお寺では仏様というまた別の超越的な存在として祀られているのでした。
かぼちゃの御利益
仏様がかぼちゃと結びいているということは、当然そのかぼちゃには御利益があるというものが結びつくようになります。
例えば本堂の扉の貼り紙には、「受験合格 かぼちゃ種守り 授与500円」の案内。なんとその御利益は、東京大学合格にまで及ぶということです。おそるべしかぼちゃの御利益…
また社務所で売られている成人病予防のお守りにも、もちろんかぼちゃがついています。このお守りがあれば、きっと成人病も怖くない!
さらに本堂前には、これまた豊かな実が詰まっていそうな、幸せのかぼちゃという石像。かぼちゃ=仏様=御利益という関係がこのお寺では成り立っているようでした。
- 境内のかぼちゃにまつわる仏像やかぼちゃが祀られる本堂は、シュールな光景を生み出している。
- かぼちゃには御利益があるものとされ、お守りなども売られている。
私も可愛いかぼちゃのお守りが1つ欲しいわね、ハロウィンにも使えそう!
まとめ
今回紹介した珍スポット・ハズ観音かぼちゃ寺は、かぼちゃとお寺という一見無関係にも思える者同士が渾然一体となることでシュールな光景を生み出していました。
冬至の日には全国から奉納されたたくさんのかぼちゃが集まり、よりいっそう奇抜な風景になるということなので、今度はその日を狙って訪問してみたいと思います。
三河湾沿岸には竹島など一般的な観光地はもちろん、珍スポットがいくつかあるため、他の用と併せて行きやすいですね。
かぼちゃと仏様が一体となったお寺から感じるロマン、興味がある方はぜひハズ観音かぼちゃ寺へ!
- ハズ観音かぼちゃ寺の通称で知られているが正式名称は妙善寺。天平年間(729~749)に行基菩薩により開基されたと伝えられている。
- かぼちゃがお寺の前に流れ着いたとされる幡豆の民話が、かぼちゃとお寺を結び付ける由縁になっている。
- 境内のかぼちゃにまつわる仏像やかぼちゃが祀られる本堂は、シュールな光景を生み出している。
- かぼちゃには御利益があるものとされ、お守りなども売られている。
訪問日:2022年1月10日
詳細情報
- 住所 :愛知県西尾市東幡豆町森66
- アクセス:東幡豆駅(6駅目)下車、徒歩3分
- 料金 :無料
- 駐車場 :無料
- 問合先 :0563-62-2297
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他にも珍スポットがあるなんて、マニアにはたまらない地域ね。
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