紀元前にインドに生まれ、長い年月を経て大陸から日本へ伝来した仏教は、わが国の歴史・社会に深く関係し、思想・文化に大きな影響を与え続けてきました。
そのような長い伝統をもつ仏教ですが、現代では風変わりで一種滑稽とも思える要素と結びつき、珍スポット的な様相を呈するという新しい文化的展開を見ることがあります。
そのターゲットはかの仏様をも包括することすらありえますが、今回紹介する秩父華厳の滝の空滝大不動尊もその一つ。果たして我々はどのような新しい文化的展開を見ることができるのでしょうか。
不動明王っていうと、一般的に厳めしい姿をしている印象があるけどなあ
たしかにお寺などでよくみる不動明王はそのような印象を受けるけど、今回紹介するのはそのような常識を覆してくる、まさに珍スポットと呼ぶにふさわしい不動明王なのよ。
全国10位にも選ばれた秩父華厳の滝
今回紹介する珍スポット・秩父華厳の滝の空滝大不動尊は、埼玉県秩父郡の皆野町にあります。この日は群馬の珍スポット・長厳寺の巨大な磨崖仏を見た後に、今回の目的地へと向かいます。
長厳寺からオートバイで1時間ほど山道の中などを走行して、秩父華厳の滝に到着となります。
近くには十数台ほど止められそうな無料の駐車場があったため、その脇にオートバイを駐車。日曜日でしたが、夕方近くなっていたこともあってかそこまで混んではいませんでした。
近くには秩父華厳の滝茶屋というお休み処がありました。長いドライブの後はここでいっぷくすることもできますね。(筆者は時間がなかったこともあり、今回は利用できませんでしたが汗)
茶屋の脇に秩父華厳の滝の入り口があります。石標や「大自然の壮観」「秩父八景」などと記載された看板によって案内されており、ここが立派な観光スポットとされていることが見て取れますね。
ここからは車両通行止めであるため、徒歩で進んでいくことになります。
しばらく進んでいくと、左右への分かれ道ができています。どちらへ進んだ方がいいか一瞬迷いましたが、近くに看板の案内に従ってまずは秩父華厳の滝へと続く左の下り坂を進んでいくことにします。
少し険しい道を進んでいくと見えてきたのが秩父華厳の滝。大自然に囲まれた山の中で見る滝は神秘的で、一種の秘境感を感じることができます。
滝の水が音を立てながら勢いよく滝壺へ流れ落ちていきます。時代は変わっても、滝は大昔から変わらず同じような調子で流れ続けてきているのでしょうか。
この秩父華厳の滝、なんと全国10位にランクインしたこともあるということです。(この順位をすごいとみるか、中途半端とみるかはあなた次第!)
滝自体の印象はとても日光の華厳の滝には及ばないようにも思えましたが、「日光の華厳の滝より規模は小さいが美しさは引けを取らない」と看板には案内文句がありました。美しさで勝負しているようですね…
- 空滝大不動尊が鎮座している秩父華厳の滝は、埼玉県秩父郡の皆野町にある。
- 全国10位にランクインしたこともある名所で、現地の看板によると日光の華厳の滝に美しさの点では引けを取らないとか。
この滝は滝で美しいのだから、わざわざ華厳の滝を名前につけなくてもよいと思うけどなあ。
ユニークな表情で鎮座する空滝大不動尊
秩父華厳の滝を十分堪能したところ、忘れてはいけないのが今回の目的です。そう、滝自体ではなく滝付近に存在しているという珍スポット的な不動尊を探しに来たのでした。
滝から来る途中にあった分かれ道に戻ります。秩父華厳の滝は分かれ道の左の下り坂にありましたが、石像があるとされるのは右の坂道のほう。こちらの道をとぼとぼと登っていきますと、数分で車が一台ほど通れるほどの道路に出ます。
一見普通の山道のようにも思えますが、左の方に何か違和感を感じます。これまでたくさんの珍スポットを見てきた筆者の勘が、すぐ近くに異変が起きていることを教えてくれます。道沿いに少し進んでいって振り返ってみると、そこには驚きの光景が筆者を待っているのでした…
!!
∑(๑ºдº๑)!!
巨大な体躯を持ちながら、威厳があるというよりは滑稽な姿で鎮座する石像。そう、この石像こそ今回珍スポットとして紹介する空滝大不動尊なのです。
一応不動尊ということですが、一般的なお寺でみる厳めしい不動尊とは違い、この空滝大不動尊は全体的に丸みを帯びていて、手にもつ剣も短く、表情はどこか滑稽に見えてとてもユニークです。
空滝大不動尊が背にする炎の裏には「秩父市蒔田 島崎征夫 島崎左官店作 昭和43年4月」と製作に関する情報が記載されておりました。秩父市の方が制作したようですが、詳細な情報は今のところ確認できておりません。昭和43年だと、一般的な仏教芸術の中では最近のものという部類に入るのでしょうか。
実はこの空滝大不動尊、秩父華厳の滝のすぐ上に鎮座している姿を見ることもできます。滝壺の近くから見る滝の上にはほら、このように堂々と坐する不動尊を見ることができます。滝の上からやさしく我々を見守ってくれているのでしょうか…
- 秩父華厳の滝の上に鎮座している空滝大不動尊は、全体的に丸みを帯びていて、手にもつ剣も短く、表情はどこか滑稽に見えてとてもユニークな印象を受ける。
- 昭和43年4月に秩父関係者の方によって制作されたと考えられる。
ユニークな表情を浮かべる不動尊様にはどこか親近感を覚えちゃうかも
まとめ
今回紹介した秩父華厳の滝の上に鎮座する空滝大不動尊、いかがでしたか?
秩父の大自然の中、ユニークな表情をしながら坐する空滝大不動尊は、その秘境的な滝も相まって、立派な珍スポット的風格を呈しているといえるでしょう。
秩父は他にもたくさんの観光スポットに恵まれた地域であるため、他の目的と併せて行くことができるのは良い点ですね。
ユニークな表情をした不動尊から感じるロマン、気になる方は今週末にでも秩父華厳の滝の空滝大不動尊にドライブへ行くのはいかがでしょうか!
- 空滝大不動尊が鎮座している秩父華厳の滝は、埼玉県秩父郡の皆野町にある。
- 全国10位にランクインしたこともある名所で、日光の華厳の滝に美しさの点では引けを取らないとか。
- 空滝大不動尊は、全体的に丸みを帯びていて、表情はどこか滑稽に見えてとてもユニークな印象を受ける。
- 昭和43年4月に秩父関係者の方によって制作されたと考えられる。
訪問日:2023年9月3日
詳細情報
- 住所 :埼玉県秩父郡皆野町下日野沢
- アクセス:国道140号 皆野長瀞ICより約8.5km 20分
- 休日 :なし
- 料金 :無料
- 駐車場 :有
- HP :皆野観光協会-秩父華厳の滝~日野沢三滝~
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