一般的な観光地とは異なる珍スポット。その管理体制も一般的なものとは異なり、個人一代で管理していることも少なくなく、高齢化や財政難などの理由によりやがて運営を停止してしまったところがいくつもあります。
今回紹介する珍スポット・桑原寺もその一つ。かつては多くの珍スポットファンでにぎわった施設も現在は閉業し、外に残るわずかな石仏等の配置物から、当時の面影をうかがえるのみです。
筆者がその存在を知った時には時すでに遅く閉業してしまったのですが、物好きにもその外観だけ観察してきましたので、今回はその様子を紹介します。
珍スポットって閉業してしまうことがあるのですか?
愛知県のネオキタロー村や大聖寺大秘殿などはいい例ね。
高齢化や財政難などを理由により運営できなくなったところはたくさんあるわ。
今回はそんな閉業してしまった珍スポットの1つである桑原寺についての話よ。
桑原寺とは?
桑原寺とは、岐阜県中津川市で運営されていた寺院で、金色の聖徳太子像8000体によるピラミッドや、ありとあらゆる神仏像や鬼によるスプラッターを見てまわる十界めぐりなどを体験・見学することができる仏教的テーマパークでもあったそうです。φ(・ω・ )フムフム…
珍スポットの名著「東海珍名所九十九ヶ所巡り」(大竹敏之著 デイズ/中部経済新聞社刊)にも紹介されていて、これによると桑原寺の制作を手掛けたのは、「足助の風天洞、蒲郡の大秘殿でも同様の洞窟参拝スタイルを確立している林海雄和尚」とされています。(p.57)
また、管理を任されていたのは「旧1万円札の聖徳太子像も描いた肖像画の大家・馬堀法眼喜孝画伯の御子息」、馬堀輝孝さんが管理を任されていたということでした。(前掲書 p.57)
参拝しようにも開いていることがめったにないことから、インターネット上では”開かずの珍寺”とも呼ばれていたが、現在は残念ながら本当に閉業してしまっているようです。orz
わしが若いころはあんなに盛り上がっていたのにのう。寂しい限りじゃ。
かつて仏教的テーマパークとして珍スポット界で人気を博した桑原寺は、足助の風天洞、蒲郡の大秘殿と同じ住職によって制作された。現在は閉業してしまっていて、見学できるのは外観のみ。
現在の境内外
もう閉業してしまっているとわかっていても、「せめて外観だけでも見てみたい…!」と思ってしまうのは物好きな筆者の性分。中津川の栗きんとんを食べるついでに見に行ってきました。ε=ε=٩(๑・∀・)۶
カーナビにセットした住所につきましたが、付近には駐車場のような場所がなかったため、仕方なく邪魔にならないようにして歩道にオートバイを駐車します。
国道から分岐した2車線道路沿いにある桑原寺。歩いて散策していると、道路沿いの歩道からでも桑原寺に立ち並んでいる仏像を見ることができました。
石台の少し高い位置に鎮座しているものもあり、地震など何かの拍子で歩道に倒れて来ないかしらんと他人事ながら少し心配になってしまいます。
大きいものから小さいものまで、様々な種類の仏像が歩道沿いの境内に鎮座しているのでした。
また、施設について説明していると思われる木製の立看板もありました。読むことができないのは、雨風打たれて文字がにじんだためなのか、それとも筆者に読解力がないためか…(-_-;)
閉業しているとはいえ、ただならぬ雰囲気がしていて何だか楽しいわね。
現在の境内
一通り敷地外の様子を確認し、待ちに待った境内へおそるおそる入っていくと、まずは右方にたくさんの石仏が立ち並んでいるのが目に入ってきます。
様々な種類の石仏が、斜面の比較的高い位置にポツ、ポツっと鎮座しているのです。中には丸そうな岩の上に乗っているものもあり、けっこう不安定そう…地震・台風・大雨・強風など、何かの拍子で転落してこないことを切に願います。
それにしてもこんな重そうな石仏を、高い位置に倒れないようにしてよくも並べたものだと、1つ1つ眺めながら感心してしまいました。
また、端のほうには打ち捨てられたと思われる石材がたくさんありました。この石材で桑原寺はまだまだ我々珍スポットファンを驚かすような発展していく予定だったのでしょうか。ああ無常…
かわって入口左方には、一般的なお寺にはよくありそうな寺院名が書かれた石標がありました。堂々とした立派な文字で「佛国宗本山 八千太子聖徳山 桑原寺」と書かれており、この施設が仏教的テーマパークであると同時に、れっきとしたお寺であったのだなということを再認識します。
その先には、歓喜の霊場「磨崖佛」がありました。現在もweb上に残存している公式HPによると、この「当山の三尊磨崖佛は聖徳太子の御示を請けた高さ約8メートルの三尊佛」ということです。(公式HPのURLは、本記事の詳細情報に記載しております。)
また近くには、今では色褪せてしまった赤色の橋や獅子の像、合掌する石仏などもありました。もう管理されていないためか、草が周りでかなり生い茂っており、ところどころ隠れてしまっています。
公式HPの写真ではこのような草は全く生えておらず、磨崖佛も赤色の橋もすっきりと見えていました。夏草や、兵どもが、夢の跡…(松尾芭蕉)
昔は、きちんと整備してあってステキな場所だったのに。
時の流れを感じるようで、なんだか悲しいわ…
現在の本堂
最後に本堂を見ていくことになります。六角形上の立派な建物で、まるで武道館のような外観をしています。
かつてはこの本堂において、聖徳太子像8000体のピラミッドや十界めぐりなどを見学・体験することができたということです。残念ながら、今となってはもうそれらを見ることは叶いません。
本堂下の方が受付・入口となっておりました。かつては期待に胸膨らませた多くの珍スポットファンがこの場所から建物内に入っていっていたのです。今では筆者のような物好きがたまに覗きにくるくらいか…
こちらの入口付近にもたくさんの石仏が鎮座していました。1つ1つ精巧に作られていて、閉業した現在でも、この場所をしっかりと守っているかのような印象を受けました。
かつては開かずの珍寺と呼ばれたくらいだから、「今日はひょっとしたら奇跡が起きて開いているのでは…!?」と淡い期待を抱いてしまいますが、そのような期待空しく、受付には当然ながら誰もいなくて真っ暗でした。
ここが本堂建物内への入口になります。巨大な白色の石仏が守るようにしてこの付近に鎮座しています。
∑(๑ºдº๑)!!
衝撃的なことに、この日は何故かシャッターが下の方だけ少し開いているのでした。「誰かが中を見たさに不法侵入している…!?」「たまたま管理者が来ている…!?」「おもしろ半分に境内を見学していた筆者への呪い…!?」など様々な予想が頭によぎりますが、さすがに建物内に不法侵入する気にはなれません。
入り口の写真だけ撮影したあと、急いで立ち去りましたとさ…(終わり)
あの中がどうなっているか、想像するだけでワクワクするなあ。
追記 (2024/1/8)
匿名さんより、2023/12/12付コメントで「リニューアル中の看板が出ていました」との情報をいただきました。そこで、この情報をもとに検索エンジンやSNSで調査しましたが、リニューアルの真偽については今のところ不明となっております。
この件について、何かご存知の方がいらっしゃいましたら、当サイトまで連絡いただければ幸いです。また、詳細についてわかり次第、本記事に追記いたします。
まとめ
かつてはもの珍しい展示物を見学して楽しめた桑原寺も、今ではもうその外観でしかかつての面影を知ることができませんでした。外観だけでも見てみたい人は行ってみる価値があるでしょう。
それにしても時の流れとはかくも残酷なもの。珍スポットはもちろん、やれることはやれるうちにやっておかないと二度とできなくなってしまうぞという教訓だと思いました。人生この一瞬も無駄にしないぞと固く胸の中で誓います。
かつては珍スポットとして栄え、今は閉業してしまったお寺から感じるロマン、興味がある方は桑原寺へ!
- かつて仏教的テーマパークとして珍スポット界で人気を博した桑原寺は、足助の風天洞、蒲郡の大秘殿と同じ住職によって制作された。現在は閉業してしまっていて、見学できるのは石仏などが鎮座している外の様子のみ。
- 時の流れとは残酷なもの。珍スポットはもちろん、やれることはやれるうちにやっておかないと二度とできなくなってしまうため、いま一瞬を全力で生きることが大事。
今こうして何事もなく生きている瞬間こそ奇跡なの!
一瞬一瞬悔いのないように全力で生きてね!
詳細情報
- 住所 :岐阜県中津川市苗木字那木3812-1
- 営業時間:閉業
- 公式HP :http://www.takenet.or.jp/~sougen/
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コメント
コメント一覧 (2件)
リニューアル中の看板が出ていました
匿名さん、貴重な情報ありがとうございます!
もう2度と展示物を見ることはできないと思っていましたが、また開く準備が進められているのですね。
リニューアルしたらまたぜひ訪問してみようと思います!