日本を代表するコンクリート像造形師の浅野祥雲。
彼が残したシュールでどことなく面白い作品は、今でも一部の人々魅了し続けています。
その浅野祥雲の言わずと知れた3大聖地の1つが、愛知県北部の犬山市にあるのです。
今回は、犬山にある浅野祥雲3大聖地のうちの1つ、桃太郎神社について紹介します。
神社周囲に乱立する桃太郎と愉快な仲間たち
この日は名古屋市内から下道で目的地に向かいます。
今回紹介する珍スポットが存在する愛知県犬山市は、岡山や香川とともに桃太郎発祥の地の1つとされている場所です。
駐車場に着くと、早速、桃の絵と「桃太郎神社」と書かれた幟が風になびいていました。
浅野祥雲3大聖地のうちの1つ、桃太郎神社に来たという実感が湧いてきます。
オートバイを停車後、神社の入り口にある鳥居に向かいます。
鳥居には「桃太郎神社」と書かれた額束が高々と掲げられております。
その下や続く参道には、桃太郎関係のものと思われる人影や物体が遠目に見えています。
期待に胸をふくらませつつ、それらのものに接近してみます。
∑(๑ºдº๑)!!
参道わきには、桃太郎のお供をしたとされる犬、雉、猿のコンクリート像がありました。
擬人化されて、人間のように衣服をまとい、鬼との決戦に備えて鎧を着て、勇ましく身構えています。
猿は何か持っているような格好をしておりますが、その手には何も持っておらず、少し滑稽にも見えます。
以前は幟、または武器のようなものをもっていたが、何かの拍子でそれがなくなってしまったのでしょうか。。
桃太郎に敗れた後なのか、桃太郎神社の幟を掲げている赤い鬼もいました。
その表情は硬く、黒い髪、濃い眉毛・髭、口から覗く八重歯といった特徴の顔をしております。
タイガー柄のパンツ以外は何も身にまとわず半裸状態と、鬼でイメージされるお決まりの格好です。
「洗濯岩」、昔々おばあさんが毎日洗濯していた足跡がのこっている岩ということです。
・・・・・
その近くには、自分の半身程度の大きな桃をもったおばあさんのコンクリート像がにんまりとして誇らしげに立っています。
その大きさからして重量はよほどのものと思われますが、おばあさんは重そうな素振りを見せず軽々とその桃をもっていて、老齢にも負けない腕っぷしがうかがえます。
境内へと続く階段前の鳥居につきました。
そこには、桃太郎神社で調べれば必ずと言っていいほど目にする、桃から生まれた桃太郎が立っています。
桃はパカッと割れ、そこから万歳姿をした全裸姿の桃太郎。
家族や友人、恋人と来た際には一緒に記念撮影をしたくなる、桃太郎神社を代表するコンクリート像のうちの1つです。
階段を上ったその先に
桃から生まれた桃太郎を後にして、境内に続く階段へと登っていきます。
階段脇にも桃太郎関係のオブジェクト。
赤鬼と青鬼のようです。頭の上に持っているものは何なのでしょうか。。
桃太郎に捧げるための宝や料理?でしょうか。。
こちらは他のコンクリート像と比較して鬼の表情や格好がどこかいびつのようにも思えます。
そして、階段を上り終えたその先に。。
∑(๑ºдº๑)!!
ありました!桃太郎神社を代表するコンクリート像群。
桃太郎、その前に犬、猿、雉と3匹のお供、桃太郎に敗れた後と思われる鬼2人が立っています。
みんな堂々とした姿で座っています。猿の手には、「日本一」と書かれた幟。
こちらもこれらの像を背景にして記念撮影したくなってきますね。
近くにはこの場所を説明する看板「国定公園内桃太郎誕生地」!
内の字が異様に小さいようにも見えますが、国定という言葉以外に愛知県犬山市という文言もあり、勝手に桃太郎とゆかりがあると主張しているのではなく、きちんと公共から認められた、正当性のある場所だよ、と主張しているようにも思えます。。
桃の鳥居を構える本堂
次に本堂の方へ行きましたが、こちらもまた驚きの連続です。
!
桃太郎関係のコンクリート像はもちろんですが、こちらは本堂前に桃色の大きな半輪上の物体が屹立しています。
この半輪上の物体は、通常のものと形を異にしていますが鳥居でしょう。
この本堂前の鳥居は、桃色で滑らかな曲線を描きながら頂上がにゅっと伸びていて、どうやら桃をイメージしているようです。
鳥居の柱にかかる板「桃形鳥居をくぐれば、悪は去る(サル)、病は去ぬ(イヌ)、災いは来じ(キジ)」
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なるほど、桃太郎の神社だけあって、御利益は3匹のお供にかけているようです。
本堂には昔話ではあまり聞くことのない、鬼退治後の桃太郎とこの神社の由来が説明されてありました。
桃太郎は鬼退治し、おじいさんおばあさんが天寿を全うされたあと、山に身を隠されたと。
その山はだんだん桃の形になってきたため、人々はその山を桃山とし、桃太郎を祀るようになって、やがて昭和9年にこの地に遷られたと。
・・・・・
桃の提灯に桃の垂れ幕、桃の賽銭箱と、本堂にも桃、桃、桃。
額に飾ってあるのは古代日本人を思わせる絵とそれに添えられた文字。「皇祖イザナギノミコト桃の威力により災難を逃れ給う」
びっくりしました、桃太郎はただの昔話ではなく、その桃は日本神話とも関係していて古事記にも登場しているようです。
まさか桃太郎がそこまで歴史あるものとは、この神社に来るまで知りませんでした。。
大変勉強になりますね。。
桃の絵馬には、たくさんの参詣者の願い事がかかれています。
逆さにするとハート形にも見えます。。
桃太郎の掲げる正義
本堂を後にしてその向かいにある広場に来ると、そこにはまた様々なコンクリート像があります。
こちらは鬼に勝利した桃太郎たちでしょう、犬や雉は万歳をし、猿に至っては何か喜びの踊りを披露しているようです。
その盛り上がりとは対照的に、手前には桃太郎に敗残してめそめそと鳴く鬼。
どこか鬼が可哀想に見えてくるのは自分だけでしょうか。。
こちらの鬼にいたっては、壁に半身を埋めてめそめそと鳴きながら、今までの行いを懺悔しています。
「もう悪いことはしません この涙を見てください」
こちらの鬼も「鬼=悪」といった昔話に典型的な構図を見ることはできず、鬼に哀れさを感じるのは自分だけでしょうか。
そして広場中央には、桃太郎に敗れて胸を押さえながら転倒する赤鬼と、その鬼に腕をキっとつきつける桃太郎。
鬼に向けるその手に持っているものはなんでしょうか。きびだんごでしょうか。
屈従せよということでしょうか。
しかし、その顔は無表情でどことなく冷徹に見えなくもありません。。
鬼を退治した桃太郎は正義、退治された鬼は悪という昔話の構図をそのまま受け入れることはできない印象を自分は感じました。
そして、桃太郎とそのお供たちは日本旗柄の扇を掲げながら鬼から金銀財宝を略奪していくのでした涙
そして、その近くにはまたこの神社を代表するコンクリート像の1つ、やさしい鬼がいます。
この鬼は、このスポットに来てくれた人々のために、少し窮屈そうな姿をしながら自らの背中をベンチとして提供しているのです。
この姿を見て、それでも本当に鬼が全面的に悪かったということはできますか?
桃太郎犬山説を裏づける宝物館
周囲のコンクリート像を一通り見終えると、このスポットには必見の神社の付属施設、宝物館に入ります。
この宝物館には桃太郎に関する様々な品々であふれていました。
これでもかというほど陳列された桃太郎に係る物品。
そのバリデーションは様々で、よく集めたものだと感心するとともに、世の中にはこんなにも桃太郎の物品が存在するのかということを改めて認識させられます。
こちらは桃太郎に係る絵本や文書。
その中には古文書と思われるものから古風な絵の絵本、比較的新しい絵本まで並んでいて、桃太郎が時代を超えて語り継がれてきた話なのだなということがわかります。
こちらは掛け軸にかかれた桃太郎。まさかこんな日本画にまで桃太郎は描かれているのですね。
そして、ここから自分の常識を覆すものが次々とありました。
自分の中では桃太郎はあくまでも架空の話、虚構という認識で、現実にあったことではないと考えていました。
しかし、この宝物館には桃太郎が本当にあった話だと自分の認識を改めざるを得ないものがたくさんあったのです。
鬼の子のミイラの写真!?
鬼が島で発見された鬼の珍宝!?
犬が嚙み切ったと云ふ鬼の珍宝の化石!?
なぜか牛の角と比較される鬼の角!?
なんと、この宝物館には鬼が実在したことを裏づける発掘物がたくさんあるのです。
また、発掘物は鬼のものばかりではありません。
桃太郎が生まれたと云ふ伝説の桃!?
こんなものまで堂々と展示されていては、桃太郎は虚構ではなく現実にあった話と認識を改めなくてはなりません。
そして、にわかには信じがたいこれらの品々を有する犬山こそ、桃太郎の発祥地としてふさわしいということでしょうか。。
犬山の子供たちが桃太郎姿をして神社の祭りに参加する様子を撮影した写真。
桃太郎の文化は、この犬山にこそ根づいているということなんですね。。
おみやげに
最後に神社の周囲のこんなお店もありました。
犬山物産を売る、レストラン桃太郎。
きびだんごを売るお土産屋。
ごみは持ち帰るように注意喚起する桃太郎。
浅野祥雲3大聖地のうちの1つ、桃太郎神社は自分の普段の常識では図れない話や物品、コンクリート像で満ちていて、想定以上に面白い場所でした!
桃太郎発祥候補地から感じるロマン、興味がある方はぜひ桃太郎神社へ!
訪問日:2020年1月31日
詳細情報
- 住所 :愛知県犬山市栗栖大平853
- アクセス:名鉄「犬山遊園駅」より車で約5分
- 営業時間:10:00~16:00
- 料金 :拝観無料 宝物館有料(大人200円 小人100円)
- 駐車場 :無料
- 問合先 :0568-61-1586
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