日本の伝承において古くから語り継がれてきた伝説上の生き物・天狗。
神や妖怪ともされており、秋葉山など古くから人々の信仰の対象となるなど、日本文化と深い関わりを持っています。
このような天狗について、実は珍スポットとも関わりがあり、日本各地に天狗にまつわる珍スポットが数多く存在しています。
今回はそのような天狗にまつわる珍スポットの一つである、古井の天狗山について話をしようと思います。
天狗の珍スポットなんて大したことないですよ。
そういうふうに天狗になっていると、近いうちきっと足元を掬われる。
今回はこの記事を読んで、自らの無知を自覚してください。
古井の天狗山へ!
今回紹介する珍スポット・古井の天狗山は、岐阜県美濃加茂市にあります。この日は浜松から東名高速道路経由で東海環状自動車道路を走行し、美濃加茂ICで降りて目的地まで行きました。
目的地へ着くと、神社のシンボルマークである赤色の鳥居と、その両側でたたずむ人の姿形をした2体の像が筆者を迎えてくれます。まずは記念撮影、雲一つない秋晴れで絶好のツーリング日和、写真も映えます。
撮影後、鳥居の両サイドで神社を守るようにして立つ像を観察すると、その正体は、神社でよく見るような狛犬などではなく、意外な伝説上の生き物であることが判明しました。
∑(๑ºдº๑)!!
そう、鳥居の両側に立つ人型像の正体は、日本の伝承において古くから存在する伝説上の生き物、天狗なのです。どちらも長い鼻をもつ顔や背中に生やした翼、山伏の服装など天狗としての特徴を兼ね揃えていました。
神社に天狗が祀られている例は、浜松の秋葉山なども有名ですが、どうやら古井の天狗山もその名の通り、天狗にゆかりある場所であるようです。
そのような天狗との関わりがある古井の天狗山のご由緒とはいったいどのようなものなのか、それは境内前に立つ説明板に記されていました。
それによると古井の天狗山は、百余年前に荒薙教(あらなぎきょう)という宗教が創始された霊山ということ。祭神には主祭荒薙大神や御嶽大神、知姫大神が祀られていますが、境内にいる神出鬼没神通力で名高い天狗はその大神の使いであり、この場所が天狗ゆかりの地となる由縁とされているということです。
古井の天狗山は、日本伝承で古くから知られる天狗が、祭神の使いとして祀られた神社である。
まさか、天狗にゆかりある神社が浜松の秋葉山以外にもあったなんて…!
日本一の大天狗像
さて、ご由緒まで見て落ち着いたところでオートバイを駐車場に停め、早速境内を見てまわることにします。ご由緒のところで見た説明板によると、古井の天狗山の代表的な天狗の一つとして、西方にそびえ、「日本一」の偉容を誇るとされる大天狗像が挙げられていました。
位置的にはオートバイを停車した駐車場のさらに奥の方。実は駐車場についた時にはすでに異様な光景が筆者の目の前に広がりつつありました。
おや、駐車場付近の森の中に、植物のものとは若干異なる緑色をした物体があるのが見えています。何でしょう、もう少し接近して見てみることにします。
∑(๑ºдº๑)!!
そう、遠目に見えた緑色の物体こそ、古井の天狗山が誇る日本一の大天狗像なのでした。突き出た岩の上に堂々たる姿で鎮座しています。
高い場所からこちらを見下ろすように鎮座している天狗はこれまたすごい迫力。それもそのはず、その高さはなんと12メートル!で、天狗像としては日本一の高さ。日本に数多いる天狗の長といった印象を受けます。
長い鼻を持つ顔や背中に生やした翼、山伏の服装など、こちらもしっかりと天狗としての特徴を兼ね揃えており、手には天狗の葉団扇と秘伝の巻物。古井の天狗山を代表する天狗像は、日本一の言葉が示すように圧巻の姿を呈しているのでした。
もっと日本一の大天狗像を間近で鑑賞したかったのですが、天狗のおひざ元には「これより中へ入らないでください。スズメバチが多く𠋉雄しています」という注意書き。残念ながらこれ以上の接近は諦めました。
また、日本一の大天狗像が鎮座しているすぐ隣には、天狗山庭園という散歩道があり、森林浴を楽しめるほか、荒薙教の開祖のお墓もありました。
日本一の大天狗像は、古井の天狗山を代表する天狗像。天狗像としては日本一である12メートルの高さから迫力ある姿で鎮座している。
緑色をして自然の中に溶け込みながら我々人間を見下ろす天狗の神々しい姿に震えます。
境内で祀られる天狗像
日本一の大天狗像だけでも十分見ごたえがありましたが、古井の天狗山はそれだけではなく、神社境内にいくつもの天狗像が鎮座しているのです。下記の写真をご覧ください。
厳めしい表情で羽団扇をもつバリエーション豊かな天狗像たち、境内各地に鎮座しており、この場所が大神の使いである天狗ゆかりの地であることを改めて実感することができました。
個人的なお気に入りはこのマンガチックな天狗像。他の天狗像と異なりかなりデフォルメされて3頭身となっており、どことなく親しみやすい印象を受けます。ドラゴンボールの筋斗雲ような雲に乗っているのもまた可愛らしい。
日本一の大天狗像以外にも、境内にはバリエーション豊かな天狗像がいくつも祀られている。
すべての天狗像を見てまわるのはなかなか大変そうじゃな。
本堂に飾られた大量の天狗面
境内に立つ天狗像を見てまわったあとは、いよいよ神社本堂へ。この珍スポットにおける圧巻の光景はこの本堂にて見ることができるのです。
上の写真が古井の天狗山における本堂、一見何の変哲もない古風な建物のようにも思われますが、実は異変はこのときすでに始まっていたのでした。視線を本堂上の方へ傾けてみます。
おや、何やら建物の壁に白色の物体がついています、しかもそれも一つではなく大量に。この物体が何なのか見極めるために、さらに近づいて見ると、そこには驚愕の光景が待っているのでした。
∑(๑ºдº๑)!!
てんぐっ、てんぐっ、てんぐっ、てんぐっ、てんぐっ、てんぐっ、てんぐっ、てんぐっ…!?
なんと神社本堂の壁には厳めしい表情をした大量の天狗面が設置されており、白色物体の正体はそれら天狗面の髪・眉・髭であったのです…!1つでは大きなインパクトもない天狗面も、ここまで大量に集まると驚愕の光景となり、一種のワンダーを我々に与えてくれます…!
気になるのはなぜ本堂の壁にここまで大量の天狗面が設置されているのかということですが、案内によるとこれらの天狗面は祈願成就返納面ということで、自宅にお祀りし願い事がかなった方がお礼参りの折、返納されたものであるということです。
つまり、大量の天狗面により引き起こされるワンダーな光景は、ただ単に同じ天狗面を機械的に並べたものなのではなく、たくさんの人々の祈願が成就したことにより実現されているものであり、1つ1つ人々の願いが込められているものなのでした…!そう考えると、なんだか感慨深いものがありますね。
本堂には祈願成就により返納された大量の天狗面が設置されていて、不可思議な光景が作り出されている。
厳めしい表情をした大量の天狗面に睨まれているようで、なんだかちょっと怖い印象も受けるわね。
本堂内部にも大量の天狗面
本堂に設置されたたくさんの天狗面を堪能した後は、本堂内部を参観します。すると驚くべき光景は神社本堂の外観だけはなく、内観にも隠されていることがわかりました。
建物内部に入るとまず目にするのが、堂々たる姿で鎮座している大きな木製の天狗像。本堂内部ということもあり、この天狗が大神の使いとしてすべての天狗を統べるボスといったような印象を受けます。
木製の天狗像よりさらに奥の方にも、左右に天狗像が祀られているようでした。中央ではおそらく祭神の主祭荒薙大神が祀られているものと思われます。
このように本堂内部を参観していましたが、なにやら左右及び後方から異様な視線を感じて振り向きました。するとそこには、建物上部の壁に白色物体というデジャブな光景、これから起こることに想像はつきつつも、おそるおそるその白い物体の正体を見極めるために接近してみます。
∑(๑ºдº๑)!!
てんぐっ、てんぐっ、てんぐっ、てんぐっ、てんぐっ、てんぐっ、てんぐっ、てんぐっ…!?
そうです、本堂内部にも祈願成就により返納された大量の天狗面が、左右及び後方の壁に設置されているのでした。その数は外の天狗面と比較しても圧倒的に内部に設置されているもののほうが多いです。
引き起こされる感情は、本堂内部の神聖な雰囲気も加わって、外の光景をさらに超えたワンダー…!古井の天狗山は駐車場でみた大天狗像だけではなく、天狗面の数から言っても日本一ではないでしょうか…!
本堂内部にも祈願成就により返納された天狗面が大量に設置されていて、数量および驚きの観点からも外のものを遥かに上回る。
まとめ
今回紹介した古井の天狗山は、その名の通り天狗により不可思議な光景が繰り広げられる珍スポットでした。
それも一つの観点からではなく、巨大さや数量などいくつかの側面により天狗から驚きを与えられる場所だと思います。
境内を見てまわるのには十分な見ごたえがあるため単体の目的地として行くのもよし、高速ICからアクセスがよく道の駅みのかもが近くにあるため、他の目的とも併せて行くのもよしと思われます。
様々な天狗により引き起こされるロマン、興味がある方はぜひ古井の天狗山へ!
- 古井の天狗山は、日本伝承で古くから知られる天狗が、祭神の使いとして祀られた神社である。
- 日本一の大天狗像は、古井の天狗山を代表する天狗像。天狗像としては日本一である12メートルの高さ。
- 日本一の大天狗像以外にも、境内にはバリエーション豊かな天狗像がいくつも祀られている。
- 本堂外には祈願成就により返納された大量の天狗面が設置されていて、不可思議な光景が作り出されている。
- 本堂内部にも天狗面が大量に設置されていて、数量および驚きの観点からも外のものを遥かに上回る。
訪問日:2022年10月15日
詳細情報
- 住所 :岐阜県美濃加茂市森山町3-5-57
- アクセス:東海環状自動車道 美濃加茂ICより車で約10分(約4.0km)/JR古井駅より徒歩約10分(0.82km)
- 営業時間:9:00~17:00
- 休日 :年中無休
- 料金 :拝観無料
- 駐車場 :無料
- 問合先 :0574-26-1331
参考:あわせて行きたい!美濃の珍スポット
美濃の珍スポットといったら、他にもこんな場所が併せて行きやすいわね。
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